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フットボール戦略論

欧州サッカーを中心に戦術・得点シーンを画像で解説


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2013/06/22 コンフェデ杯 A組5 日本 v メキシコ


  日本
1 - 2
  メキシコ

54   Jエルナンデス
66   Jエルナンデス
86   岡崎

  ザッケローニ監督
「日本はDFがより前に出て、アタッカーやMFをサポートするというアプローチを取ったが、完全に実行できなかった。後半はよりスペースを作りたかったが、それがうまくできなかった。中盤がかなり詰まっていたからだ。」

「あと数センチの高さがチームに欲しかった。つまりよりハイプレーで強さを見せたかった。酒井宏はそれが保証できると思った。メキシコには3人の190センチ台の選手がいたし、エルナンデスもそれほど身長が高くないが、ヘディングがうまい。だから吉田(麻也)を投入した。栗原を入れたのは、吉田の体調が良くなかったからだ。」

「3−4−3は、後半で使った。ウイングがスペースを確保する唯一の手段だった。もう1人がサイドに張りつくことで、よりスペースが使えると思った。本田と香川にスペースが与えられた。純粋な3−4−3というより3−4−2−1だった。」
スポーツナビ

  デ・ラ・トーレ監督
「日本はよくやっていたと思う。攻めこんできたが、我々がボールを支配するようになり、ペナルティボックスにボールを運んでスペースを活用した。選手が個性を出して、得点に繋げることができた。日本は非常にまとまったチームで技術力があり、タレントもそろっている。だから、こちらから反撃することは容易ではなかったが、後半に入ると、よりボールをキープすることができて、得点に繋げることができた」
サッカーキング

■ 試合分析はこちらで試合の展開能力の差が出た日本とメキシコ【どこで差が出たのか】


■ 日本の中盤プレスの減少と最終ラインの関係


ここではどのように日本からメキシコへと主導権が移ったのかを試合中の場面をみながら分析していく。



①まずは前半、日本に運動量があった頃のシーンを見てもらいたい。

2分の最終ライン


40分の最終ライン

これは前半の立ち上がり(2分)と終盤(40分)のメキシコの中央からの攻撃のシーンだが、どちらのシーンを見ても日本の中盤のプレスは効いている。さらに見て欲しいのは最終ラインで、芝目を一区切りとしてペナルティエリアのラインから3~4の位置で布陣している事がわかる。




②次は中盤プレスからの速攻に繋がったこのシーンを見て欲しい。


6分のシーン

中盤中央の本田細貝遠藤が連動して囲い込むことでメキシコにボールを自由に持たせず、最終的に遠藤がボールを奪うと前線の岡崎へ縦パスを通して4対4の状況を作り出した。つまりラインを上げて①や②のような守備を続けることで、日本は本来の守から攻への縦へ早いサッカーをすることが出来ることが分かる。




③こうしてメキシコは中央を封じられたことで第ニの戦術、対角へのロングパスを使った攻撃を使用してくる。

15分


45分

しかしここでも日本のラインは3~4のラインに保たれており、出し手へチェックへも行っているため、自陣深くでボールを受けられるあるいは競り合うといったシーンには結びつかなかった。


ここから後半へ

後半へ入ると、開始から運動量が落ち、日本は思ったような攻めが出来ずメキシコにボールを回され始める。



そしてここからが本題の先制点に繋がるシーンを取り上げていく。


50分

まずはこのシーン。メキシコの最終ラインを自陣にまで入れた上、フリーでパスを通されてしまっている。最終ラインに至っては2~3の間にまで下がってしまっている。これでは相手にゴール近くにボールを持ち込まれるのは必然。ここで受け手に対してマークが付いているならまだいいが、左サイドでもフリーでパスを受けられてしまっていることは問題だ。


そして↑の50分の流れのリプレイのような、↓54分の先制シーンへと繋がる・・・

54分

①右サイドでボールを受けたGドス・サントスが一旦後ろへボールを下げる。この時に中央の今野はラインを上げに行くが、左サイドのグアルダードはその裏を突いて上がる体勢に入っている。さらに、酒井宏は中に絞ってJエルナンデスをマークしているためグアルダードへは誰もマークへ付いていない。



②こうして最終ラインまでボールが戻ると、そこからレジェスがそのグアルダードへパスを送る。ここで慌ててグアルダードのチェックに行く酒井宏



③しかし間に合わず前を向いてボールを持たせてしまう。そしてクロスを入れられ、



Jエルナンデス栗原がボールウォッチャーとなった瞬間に裏へ飛び出し



⑤完璧な崩しでメキシコに先制点を奪われてしまった。


このように全体の試合展開を見ると、酒井宏の対応のみの問題でなく、まず中盤のプレスがなくなりズルズルと下がったことが第一の問題。さらに連動して最終ラインも下がってしまったことが第二。最後に全体のマークが甘くなり失点してしまうという取られるべくして取られたゴールだった。

後半の立ち上がりに修正してきたメキシコの試合巧者ぶりを見せつけられると共に、日本は経験の差を実感させられる試合となった。

■ 関連試合
2013/06/20 コンフェデ杯 A組4 ブラジル v メキシコ

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野中 邦定
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