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フットボール戦略論

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2014/02/19 UCL Ro16 1Leg アーセナル v バイエルン



  アーセナル
0 - 2
  バイエルン 

54   クロース
88   ミュラー


  アーセナル


  ベンゲル監督
「今日はすべてが我々にとって良くない方へ行った。動き出す前に、3点リードするべきだった。大きなミスをしてしまった。ただ、メンタルは素晴らしかったよ」

「(PKの場面で)接触はあった。PKだ。だが、レッドカードだろうか? 私は何度も異議を唱えてきたことだ」Goal.com

ホームのファーストレグ、で昨季の欧州王者バイエルンに対して0-2の敗戦。今回のこの結果に関しては、戦術うんぬんよりも試合中に起きた表面的な事象が全てであった。それはつまり、①エジルが自ら得たPKを外したことと、②ギブスが前半に負傷し、交代枠を1つ消費せざるを得なかったこと。そして③シュチェスニーが飛び出してきたロッベンを倒して一発退場したこと、この3つによる影響が大きかったという意味である。

序盤のアーセナルの守備陣系


アーセナルは開始からバイエルンの最終ラインからのビルドアップに対し、積極的に前線と中盤の6人の選手が連動して囲い込み、縦へのパスコースを遮断。特にフラミニが徹底してパスの受け手を潰し、中に入ってくるゲッツェに仕事をさせなかった。



ラームボアテングのビルドアップ時にアーセナルの中盤はここまで高い位置を取り、縦へのパスコースを防ぎに出た。



②ボールを受けたボアテングは前を向くが、縦パスに対してはアーセナルの選手が奪い取る姿勢を見せているため横のダンチにパス。



③受けたダンチは左から崩そうとするが、ここでもトップのサノゴを含めて中盤の選手が素早くスライドしプレッシャーをかけて侵攻させなかった。



続く攻撃では、奪ってから相手の守備が整う前に攻勢をかける。ゲームメイクはカソルラエジルが担当し、前ではチェンバレンがスピードを活かして抜け出すことでチャンスを作り出すことに成功。少なくとも、ここまでのアーセナルは非常に順調な滑り出しだった。そんな中で得たのがエジルのPKだったわけだが、これをノイアーに弾かれ、千載一遇の先制点のチャンスを逃してしまった。


その後はバイエルンがじわじわとポゼッションを高めていき、気づけば自陣でブロックを作ることが多くなってしまう。こうなると当然バイエルンに主導権は流れ、ロッベンクロースのワンツーで裏へ抜けだされると、飛び出したシュチェスニーロッベンの罠に引っかかりPA内で倒してPK+レッドカードの判定が下される。


こうして、ゴールキーパーが退場したことでフィールドプレイヤーの交代を余儀なくされたアーセナルは、カソルラを下げてファビアンスキを投入。直後のPKはアラバがポストに当てて外し、前半を0-0で終了したことで事なきを得た。だがシステムは4ー4ー1となり、この時点で劣勢に立たせれることは明白だった・・・

(後半はバイエルンの項で)



左が前半、右が後半のアーセナルのパスライン(赤青→)。後半は自陣PA内からクリアするのが精一杯だったことが分かる。
FourFourTwo



  バイエルン


 グアルディオラ監督
「難しい相手に対して、大きな結果を出すことができた。ネガティブだったのは最初の15分間だけだ。ポゼッションがなく、良いプレーも見せられなかった。序盤は、この非常に優れた相手チームに対して、ボールをキープできなかったんだ」

「エジルがPKを外した後、試合をうまくコントロールでき、試合(の流れ)をひっくり返すことができた。もちろん、1人少ないアーセナルにとっては簡単ではなかった。我々は我慢強くプレーできていた」 Goal.com


序盤はアーセナルのプレッシングに攻撃を抑えこまれかけたバイエルンだったが、徐々に息を吹き返す。基本的には右サイドのロッベンゲッツェラームチアゴAらで組み立てながらも、相手がスライドして左のスペースが空き始めると素早くアラバに展開するなど、的を絞らせない攻撃でアーセナル守備陣を揺さぶりにかける。


試合が動いたのは後半からだった。グアルディオラ監督はセンターバックのボアテングに代えて右サイドバックのラフィーニャを投入。中盤センターだったJマルティネスをセンターバックに下げ、ラームをその位置においてより攻撃に出る意思を明確にする。

先制点のシーン


一人少ないアーセナルに対し、この選手・戦術交代の成果はすぐに出ることとなる。このペップの修正能力の早さとそれを見抜く戦術眼は、言うまでもなく世界屈指である。



ロッベンの右サイドからのスローインで始まった一連の攻撃はラームロッベンを経て中央でフリーのクロースに渡る。



②パスを受けたクロースに対し、フラミニは素早く寄せるが、サノゴは前線に戻ってしまう。そのためクロースに前への侵入を許し、



③ノープレッシャーでラームにパスが通った。




④こうなるとサイドでの数的優位を活かしたバイエルンの得意な形ができあがる。まずはインサイドでラームエジルとの一対一の状況を作りだし、その裏をラフィーニャが駆け上がっていく。そこでアーセナルは中央の選手(モンレアル)がそれに対応(右の白円部)



⑤こうして選択を迫られるエジルに対し、ラームは内側に持ち出し再びクロースにパスを出す。




⑥こうして完全にフリーとなったクロースは得意のミドルシュートをゴールに突き刺した。このシュート自体もゴールの外側から巻いて入れる見事なものだった。アーセナル側からすれば一人少ない分、④の時点でサイドとPA内に人を引きつけられ、人数が足りなくなってしまっていた。


ホームの試合で得点が必要であり、負傷のジルーに代わって先発起用された若いサノゴに守備まで求めるのは酷だが、数的不利の中でバイエルンに隙を与えればこうなることは明白であった。

追加点のシーン


64分にマンジュキッチに代えて投入されたミュラー。一方的に押し込んでいた時間帯に、とどめを刺す一点を狙った采配となった。


アーセナルのフリーキックを弾き返しカウンターに繋げたバイエルン。そのため、上がっていたコシールニーのカバーを務めたフラミニが最終ラインに入りミュラーに対応した。しかしピサーロロッベンが中央にオトリとして走り込むと、アーセナル守備陣の裏にはスペースが生まれる。


この隙を逃さず、これまた中盤でプレッシャーなく前を向いたラームがクロスを上げ、ミュラーが得意の気配を消すゴール前での動き出しでフラミニの背後に回りこみゴールを決めた。


こうしてアウェーで勝利したバイエルンと苦境に立たされたアーセナル。セカンドレグではどのような戦いを繰り広げたのだろうか。


Ro16 2Leg バイエルン v アーセナル 分析

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