イタリア
4 - 3
日本
21
本田
33
香川
41
デ・ロッシ
50
OG
52
バロテッリ
69
岡崎
87
ジョビンコ
プランデッリ監督
「我々はメキシコ戦で勝利にふさわしかった。今日は信じられないくらいに苦しんだね。この気候で戦うのは本当に難しい。最初の25分間、我々は何をするべきかを分かっていなかった。それから挽回したが、ガソリンがなかったね」
「緊張の低下があったわけじゃない。だが、うまくやれない時間帯があった。イタリアは苦しんだ。だが、何としてでも結果を出そうとしたね。ここの湿度は80%なんだ。そして、信じられないくらいに暑い。今はブラジル戦に向けて力を取り戻さなければいけないよ」
Goal.com
ザッケローニ監督
「スペインのやり方のように戦った。プレッシャーをかけて、よりボールをキープするようにした。縦へのロングボールが入る際に、まずバロテッリを探すようにしたし、イタリアに取って難しくしようとして、できるだけボールをキープして、早くボールを動かすようにした。パスを多く回すようにした結果は、ご覧になったようにいくつかのエピソードを作った。」
「日本のサッカーは比較的若いが、最近大きく成長した。しかし、強豪国と比べると短い期間にコンスタントにパフォーマンスを発揮することはできないので、小さなチャンスをつかむことが必要になる。」
スポーツナビ
それでも勝てなかった日本が見るべき視点とは
【イタリアから学ぶもの】
2点リードから逆転され、追いつくが再度勝ち越される。いちサッカーファンとして見ればこのシーソーゲームは非常に白熱した試合であったし、日本の攻撃サッカーも常に自陣に相手を押し込み得点の気配を漂わせ、緊張と興奮で目を離せない試合となった。それでも「結果」として残ったのは敗北、そしてグループリーグ敗退という事実である。この事について色々と考え、もう一度試合を見返しつつ分析した上で、やはり今回はその「結果」を重点に置き書いていこうと思った。
こういったことを言うと、1年後のW杯に向けての試合なのだから「内容」も見るべきでは?との声もあるかもしれない。もちろんその意見も確かだ。ただ私は現在の日本サッカーが負けてなお称賛されるグッドルーザーであることを目指しているとは思わないし、「内容は良かった。後は個々がレベルを上げ、チームを成熟させればW杯本体会では上を目指せる。」こういった姿勢でいるのは実際にプレーする選手や監督の意志であり、見る側にはより客観的な視線も必要だと考えている。
逆に言えば今回はそれだけイタリアが強いというのが実感できた試合でもあった。イタリアが過去のみならず現在も世界トップのチームであるというのは、2006年W杯優勝、ユーロ2012準優勝を見ても納得できるだろう。実際に世界中の人から見ても今回日本が勝つなど思ってもいないのが現状だ。
■ ポゼッションでは負けていなかった
そして迎えた今回の一戦。この試合は様々な要素が重なり、分析する上で非常に難しいものであった。その理由はまず①中三日ながらブラジルに再度実力を見せつけられた日本と、メキシコに勝利した中二日のイタリアというコンディション、精神面の違い。次に②両チーム共に互いにゴール前でミスが出ての失点(追いかけた岡崎とシャッケリーニはもちろん評価すべき)があった事。加えて③さらに互いにセットプレー、PKでの失点であった事。ゴールシーンだけを見ればこういった得点パターンが大半を占めていたことが評価を難しくした。
これは何故なのだろうか。それを考えていくと、互いに敵陣での攻撃を売りにしたチームだとい理由にひとまず落ち着いた。イタリアはメキシコ戦でも見せたように両サイドバックの位置が高く、中盤のデ・ロッシ、ピルロ、モントリーボの3人も共に攻撃面に秀でた選手を置くチームである。それに対して日本もサイドバックは果敢に攻撃参加し、特に長友の高い位置での仕掛けは欠かせない武器となっているし、遠藤と長谷部も共に守備重視でなく組み立てや攻守のバランス感覚が売りの選手である。つまり相手の特徴を自らが攻撃することで消そうというのが、プランデッリとザッケローニの代表での考え方である。
その点で言えば、日本がゲームの中でイアリアの組み立てを封じてポゼッション率で上回った(イタリア42%、日本58%)ことは評価すべき部分である。ザッケローニ監督はこの試合で間違いなく手応えを感じただろうし、今後もこの部分をどう生かし進化させていくかが重要な要素になる。(これは当然Jリーグからの選手選考にも大きく関わってくるのでチーム、選手のスタイルの近いチームは注目か。)
■ イタリアのスタイルに強さがある
しかし再度言うように、それでも勝てなかったことはより重要である。なぜか?それはトーナメントを勝ち上がるイタリアはこういう時でも負けないからである。今回の日本戦ではコンディション調整に苦しみ選手起用が上手く行かないながら逆転勝利、メキシコ戦でも同点に追い付かれながら勝ち越す。これこそ「強い」といえるのではないか。
ユーロ2012準決勝のドイツ戦を思い出して欲しい。この試合では中6日のドイツに対し中4日、さらに準々決勝でイングランドと延長・PK戦にまでもつれる激闘を演じた後の状態だったことを。そしてポゼッション率で下廻りながらも、イタリアはバロテッリの2ゴールで勝利したことを。これが歴史を積み重ね伝統を継承してきた国の強さである。その意味でプランデッリ監督のスタイルというのはあくまで上乗せのプラス要素であり、基本は結果を求めるイタリアサッカーにこそ真髄がある。
■ 日本が目指すもの
日本はどうだろうか?そう考えると、少なくともアジアではこの強さを見せることが出来る。アジアカップ2011ではヨルダン戦でアディショナルタイムの同点弾、シリア戦では川島が退場しながらの勝利、そして準々決勝カタール戦での逆転劇。ここ最近の最終予選でもオーストラリア戦ではアディショナルタイムに同点に追いつき、イラクでは終盤に得点を取り勝利している。つまりアジアでは地位を盤石としつつも、これを世界のトップを相手に見せられないのが今の現状。これを再度確認できたのは現在の立ち位置を見る上で良い材料になったもではないか。
1998年の初W杯出場以降、中盤の攻撃陣に多くのタレントを排出してきた日本。現在でもそれは変わらず、これこそが日本の長所になりえるのではないかと個人的には思っていた。しかし日本サッカー界の方向性はまだ模索状態である。その意味でもこの試合での衝撃を通じて、そこを進化させられるような発展を目指すことが、世界トップに追いつく手段だという思いは一段と強くなった。その意味で今後サッカーを分析する上で、見ていく視点が見えてきたことは個人的には大きな収穫だった。
■
イタリアの4点目(決勝点)のシーン
①
吉田(画面奥)が自陣深くでインターセプトしたボールをフリーの
今野へ戻す。
②
今野はこのパスに対し焦りからかワンタッチで不用意なクリアを選択。
③そのボールが
デ・ロッシへのプレゼントパスとなり、日本は一気に劣勢の状態へ。その瞬間に途中出場の
マルキージオがすかさず前線に走り込む。
④
デ・ロッシはそれを見つつも中を向きゴール前の
ジャッケリーニへパスを出す体勢をとる。そこで最終ラインの
今野は、
⑤その場で止まってパスを対処しようとするが
デ・ロッシは切り返し、チェック行っていた
遠藤はフェイントに釣られる。
⑥こうして出来たスペースにパスを通す
デ・ロッシ。それと共に
マルキージオ(画面奥)がペナルティエリアへ走り込む。この時の
長友は最初見た時は何故マークを離したのかと思ったが、画像で見ると
酒井宏(画像手前)にラインを合わせオフサイドを取りに行っていたことが分かる。
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