バイエルン
4 - 0
バルセロナ
25
ミュラー
49
ゴメス
73
ロッベン
82
ミュラー
ハインケス監督
「過去2年にわたり優勝から遠ざかったことで、選手の間では今年こそ栄冠をつかみ取りたいという気持ちが高まった。このチームは戦術理解もトップレベルに達しており、お互いのために走り、戦うことをいとわない。今日の試合はその完璧な実例だ。」
UEFA公式
ビラノバ監督
「非常にフィジカルなチームで、長身で身体の強い選手を揃えている。前半は我々もそう悪くなかったが、後半に入って早々にCKからゴールを許し、その後は難しい展開になった。あまりに多くのスペースを与え、フィジカルの弱さをさらしてしまった。」
UEFA公式
■ バイエルンがバルセロナに対してここまで完璧に勝ちきるとは思っていなかっただけにこの試合展開はさすがに驚いた。
しかしゴールシーンを見るとひと目で分かるバイエルンの戦術があった。それはセットプレー時の身長差というバルセロナの欠点を生かした攻撃をしたというシンプルなものである。この高さを生かして先制点、そして追加点を奪う展開となり、バイエルンからすれば楽に奪えたゴールとも言える。
バイエルンの高さの利を生かした得点シーン
①
②
①の先制点そして②の追加点共に完全に競り負け、ボールを落とされて失点を許してしまった。これだけ高い選手が揃うと対応は厳しい。
もちろんこれはプジョルを負傷で欠くバルセロナからしても十分に考えられる失点パターンであったし、ビッグクラブ通同士が準決勝まで来ればアウェイでの失点は計算済みのはずである。ましてや今季のバルセロナはお世辞にも守備がいいとは言えないのだから。
その意味で今日の試合ではバルセロナがアウェイゴールを奪えるのかどうかという点が最大のテーマだった。
アウェイ、バルセロナの戦い方
そこでバルセロナの試合展開を始めから振り返っていく。前半はバイエルンが中盤で激しいハイプレスを見せ、いつもは守備意識の高くないサイドアタッカーのロッベン、リベリも含めボールホルダーを囲い込む。特にスペイン人のJマルティネスは気合が入っておりイニエスタに激しくチェックに行き、前を向かせなかった。
対してバルセロナはそれを交わしつつボールを支配し、ポゼッション率は6割以上を握り続けた。バルセロナからすればバイエルンのハイプレスさえ凌ぎきればチャンスは訪れるという考えは当然あっただろう。これは少なくとも1点奪えればホームのカンプ・ノウでバイエルンにプレッシャーを与え続ける事ができるからであり、これまでもそうして勝ってきた事実があるからこそ出来ることである。
こうして失点はしたものの、案の定65分過ぎからバイエルンのプレスが弱まり始めると中盤にスペースが空き始めた。これでバルセロナの思っていた展開になったのは間違いなかったが、ひとつ不安材料だったのが絶対的エースであるメッシのコンディションだった。
今季のメッシは基本的に前線でも動きまわらず、ペナルティエリア前の一瞬のスピードで相手を交わしゴールを決めてきた。しかしケガを負っていたこともあってか、今日に限っては後方でボールを受けてドリブル勝負に持ち込んではロストするというシーンが目立ち、ゴール前で相手にプレッシャーをかける事が出来ていなかった。
その結果、バイエルンのスタミナ切れを狙った攻撃が機能せず、逆にカウンターから失点を許してしまい無得点でファーストレグを終えることとなった。バルセロナもポゼッションサッカーが崩されたわけでは決してなかった。それだけにメッシが万全の状態での両チームの試合を見たかったというのが本音である。
もちろんここにはメッシに替えて出せる選手、戦術がないというところに限界があったのも確か。バイエルンからすれば司令塔クロース、センターバックのバドシュトゥバーを負傷で、エースのマンジュキッチを累積警告で欠きながらも分厚い戦力を保つことができたことが今季の安定につながっているのは言うまでもない。
【フットボール戦略論】