バルセロナ1 - 1
PSG
1Legは2-2トータル3-3アウェイゴールルールによりバルセロナが準決勝進出50
パストーレ
71
ペドロ
監督
「彼(メッシ)とは、難しい状況となった場合に出場させるという取り決めを交わしていた。数分間のプレーであれば問題を抱える心配はなく、同点弾が決まった後には控え目にプレーしていた。」
Goal.com
アンチェロッティ監督「今日の我々がやったことを考えれば、敗退というのは厳しい。我々はファーストレグで少し恐れを抱いていた。あの結果(2-2)が良くなかったね」
Goal.com
■ バルセロナを後一歩まで追い詰めたパリ・サンジェルマン。この日の試合とファーストレグも含めてバルサ対策は十分にできていたのではないだろうか。その対策とは具体的になんなのか、どう策を講じたのか、そしてそれをバルセロナはどう破りベスト4へ進んだのかを書いていきたい。
PSGの崩しとは
PSGは開始からファーストレグ(
前回対戦詳細)で手応えを得たバルセロナのポゼッションサッカーに対して引いて守りカウンターという戦術を引き続き採用してきた。これはミランも決勝トーナメント1回戦で見せファーストレグでは勝利することに成功した試合である。
その戦術を使い、①ボールを奪うとまず両サイドのジャレが高い位置を取ることでJアルバの注意を引き付ける。そうする事で②前のルーカスがフリーとなり前を向いてドリブルを仕掛け、そこにもブスケッツが寄せに入る。すると③中にスペースが出来るためパスが通り易くなりチャンスが生まれる。これは逆サイドで攻撃を作る際も同じであり、このブスケッツをいかにおびき出しスペースを空けさせるかというのがカギとなってくる。
これはファーストレグで見せていた攻撃だが、今回はそれに加えて④DアウベスとJアルバの左右裏へのダイアゴナルのロングパスを多用してきた。これによってバルセロナの守備陣はさらにサイドへの守備意識を高めざる負えなくなる。
この時PSGは
ラベッシが左へ開くことで攻撃時はこのような(下図)4-2-3-1のシステムになっていた。こうしてバルセロナにサイドを強烈に意識させた上で最後のエッセンスとして⑤攻撃時に
パストーレが中央に入ってボールを受けることで上で挙げた
ブスケッツをおびき出すことに成功し再三中央突破を図ることに成功した。
その具体例がこちらの先制後の58分のシーンのパストーレとブスケッツのマッチアップ
まず最終ラインからサイドへ
サイドに引きつけた所パストーレが中で受けに行く
それに対しブスケッツが対応、ここで取れば逆にバルサ得意のショートカウンター
しかしパストーレがブスケッツが前に出たスペースを生かす縦パスを入れる
更に前で受けたラベッシがDアウベスが上がったサイドのスペースへパス
サイドで受けたイブラヒモビッチは前へ、パストーレはセンターバックがイブラに引っ張られ出来たスペースへ
そのスペースへイブラがパス
これが決まっていれば勝っていた可能性もあった
PSGの先制点はこうした計算の中から生まれたものだった。バルセロナとカンプ・ノウで対戦する場合、どうしても守備偏重となり押し込まれる形になってしまう。そして両サイドバックが上がりトップの3人が中で動き周り、イニエスタとシャビのピボーテがボールを回し出す。この時間が長ければ長いほど疲労し、そこからカウンターという流れは困難となる。
だが、今回のPSGはそれをうまく回避して果敢にラインを上げて戦うことができのは「攻撃は最大の防御である」という攻めの形を示した点も大きい。ファーストレグからさらに策を進化させてきた辺りはさすがアンチェロッティである。
前半はこの攻撃をVバルデスの好セーブもあり防いでいたのだが後半早々に失点したことでPSGペースになり、バルセロナは中盤で動き出しを探る時間が多くなりボール奪われカウンターというシーンが増え出した。
今のメッシをどう止めればいいのか
それでも負けなかったのはもうメッシの活躍に尽きる。はっきり言って戦術云々といった話がすべて吹き飛ぶほど今のメッシは手の施しようがないと改めて思わされた一戦だった。
得点シーンを振り返ると、メッシがボールを受けるとヴェラッティ、モッタ、Tシウバの三人が囲みに行っていることがわかった。それにも関わらず驚異的な瞬発力で交わすと前のビジャへパスを通し、ビジャがそのボールを落としたところにペドロが走りこみゴールを決める。メッシだけであればマンマークの枚数を増やす事もできるが、前半も攻撃の中心として調子の良さを見せつけたイニエスタがいるため手を付けられないのが今のバルセロナである。
三人を引きつけ裏へパスを通すメッシ
こうしてもう一点必要となったPSGはラベッシに替えスーパサブとして結果を出しているガメイロ、ヴェラッティに替えセットプレーキッカーのベッカムを入れ得点を奪う体勢を整える。
これに対しビジャに替えソングを投入し守備を固めると最後はバルサの得意のパス回しで時間を使い逃げ切った。こうしてPSGは惜しくもアウェイゴールでの敗戦となりはしたが対バルセロナ対策としてこれだけの策を見せ楽しませてくれたことには拍手を送りたい。
【フットボール戦略論】
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