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フットボール戦略論

欧州サッカーを中心に戦術・得点シーンを画像で解説


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2013/05/03 J1 9節 川崎フロンターレ v 名古屋グランパス




  川崎フロンターレ
2 - 1
  名古屋グランパス

45+2   小林
83   藤本
87   山本


  風間監督
「相手のプレッシャーにハマっているわけではなくて、自分たちが一歩、半歩疎かにしている、ルーズにしているところをみんなで見てみて、できることからやろうということで始めました。」

── 1歩、半歩疎かにしているという話がありましたが、それはどういうことでしょうか?
「相手に隠れているんですよね。相手が動いた、たとえば相手が取りに来た時に背中で貰おうという場面が多かった。それをちょっと外すだけでコースが出来る。そうなると次はファーストディフェンダーが飛び込めなくなるはず。」
川崎F公式

  ストイコビッチ監督
「ヤキモフスキーの起用について、チームに責任があるのは私です。スタメンを選ぶのも私の責任です。それは私の選択で、これは説明する必要はないと思います。」
名古屋G公式

前線からの積極的守備

フロンターレは得意とする攻撃サッカーを押し出し、キープ力ありパス通せる中村と、自ら前線でシュートも打てて下がってボール受け攻撃を組立てる事のできる大久保を中心とした攻撃で、リズムを作った。特に怪我から復帰した中村が左右へのパスでグランパス守備陣を揺さぶり、前半アディショナルタイムにはクロスと見せかけ右の田中がフリーになまでタメてパスを出し先制点を演出。


後半はグランパスが選手を替え押し込まれる展開となったが、怪我明けのレナトを終了間際に投入。そのレナトがドリブルで引きつけておいて山本が見事なミドルシュートを決め攻めを貫いた結果勝利を勝ち取った。


守備に関しては前線からのチェイスでボールを奪いショートカウンターを仕掛ける戦術は上手くいっていた。逆に自陣ゴール前から繋ぐ攻撃ではロストして危険な場面も見られ、ラインの低い後ろの守備陣と、前からプレスかける前線の間にスペースができていたところはウィークポイントだった。


フロンターレの前線からのプレスと中村憲剛を起点とした攻撃



①自陣で攻めの起点となるボランチの田口の前にスペースができている状態。



②ここへドリブルで持ち込もうとするが2トップの大久保矢島が挟み込み、



③ボールを奪って一気にショートカウンターへ移りチャンスを作ることが今日は出来ていた。





①さらに別のシーン。闘莉王がフロンターレの二列目の間を通して前の小川へパスを通す。



②しかし伊藤が激しく体を寄せボールを受けさせず、



③このセカンドボールへ大島中村がいち早く対応。



④そして大島がボールを奪うと一旦、中村へ渡す。



⑤こうして中村が起点となりフロンターレの攻撃が始まる。


クロス一辺倒な攻撃

しかしグランパスの攻撃はそこは狙わず、トップ下に入ったヤキモフスキーまでサイドに流れ、ケネディへクロスを放り込む戦術を取った。フロンターレの戦術を見れば、守備専門でない中村山本のドイスボランチは十分に狙えるポイントだったはずだ。


もちろんフロンターレがクロスから失点を多く許している事を知っての戦術であっただろうし、後半には阿部のクロスをケネディが落とし、藤本がシュートを打ち同点となるゴールを奪ってみせた。こうしてグランパスのサッカーを貫き通したという意味では正しかったのかもしれないが、これから上位を狙うためにもう少し臨機応変さも欲しかった。


特にヤキモフスキーに替え玉田田中輝に変え藤本を後半から入れると、藤本が中央へ入りチャンスを演出していただけにそのサッカーを続けたかった。後半はその流れで藤本が受け右からオーバーラップした田中隼がフリーでクロスを上げる場面もあったのだが、3回あったクロスも精度が低くラインを割ってしまうのではどうしようもない。こういったグランパスのクロス頼みの攻撃にも助けられ、フロンターレは勝利を飾る事ができた。


正直今日のようなフロンターレの攻撃をしていればもっと点が取れてもおかしくない。それでも取れないのは前線で奪ってからの回りの裏への上がりが遅いのと、エリア内でのシュートを落ち着いて打つという事が出来てないからだろう。中村が復帰し良い崩しは出来ているだけに、前線の選手が慌てず打てるようになれば試合も安定してくるはずだ。

【フットボール戦略論】
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