浦和レッズ
2-0
サンフレッチェ広島
41
梅崎司
61
鈴木啓太
【同じ布陣の差はどこにあったか】
雨中の試合となった優勝を狙う1位サンフレッチェとACL出場権を狙う3位浦和レッズの上位対決は、2点差をつけてレッズが勝利する結果となりました。
実力的にも順位にも差がないチーム同士のこの結果には初優勝を目指す広島のプレッシャーが差に出たも確かかもしれませんが、それよりだけだったのでしょうか?
昨季まではサンフレッチェの監督であり、現在はレッズの監督を務めるペトロビッチ監督が作り上げた両チームは共に3-6-1(3-4-2-1)の布陣を敷くチームです。このシステムで肝となるのは両サイドに張った選手の動きと運動量にあります。
レッズでは平川と宇賀神、サンフレッチェでは清水とミキッチが担うこのポジション。この選手達が守備時はサイドバックとして、攻撃時はサイドハーフの働きをすることで数的有利を作り出し試合を有利に進めることが可能となります。
もちろん上がった場合その分スペースができるので、勝つためには基本的にボールを保持し相手サイドの選手を自陣に押し込むゲーム展開が必要となるわけですが。そこで今回の試合内容を振り返りながらどういった展開になったのか探って行きたいと思います。
■ 試合展開
この日のレッズは前半から積極的に仕掛けラインを高くしてポゼッションサッカーを指向しました。これによってまずはサイドの主導権を握ることには成功。それでも相手ゴール前までパスこそ回るもそこからの発想が今一つで先制点を取るまでには至りませんでした。結果、徐々にサンフレッチェも前に攻める機会が増え始め、互いにリトリートして攻撃の意識が薄れ始めます。
それでも点を奪えたのは今日に限っては鈴木の積極的な前への攻め上がりの意識があったからと言って良いでしょう。お互いに同じシステムで対陣を張った場合どこかでリスクを負った後ろからの攻めが必要となります。
この試合で唯一そのリスクを背負って攻めたのがその鈴木でした。前半終了間際の前への攻め上がりからのダイアゴナルなスルーパスもそうであったし、後半の追加点のサンフレッチェ守備陣の真ん中を切り裂くドリブルも足が止まり始めた時間の効果的なものでしたね。
このプレーはサンフレッチェも予想していなかったのでしょう。いつもならば鈴木は中盤の底でパスを繋ぐのが仕事であってこういうプレーはそこまで見られない。それでも年一、二回驚くようなプレーを見せるのがこの男です。いい意味で期待を裏切るプレーでした。
その後のサンフレッチェはもちろん攻めこんできたわけですが、浦和の守備も安定しており得点を決めることはできなかった。見ている側からすれば遅い反撃だったと感じました。
■ 今後の展望
レッズはモチベーションの高さが伺える試合内容でした。選手の質を考えればこれくらいのサッカーは出来る力を持っているわけだから、クロス重視の攻撃でなく、中盤からの攻めも厚くしていきたいところです。
そして優勝が懸かるサンフレッチェですが、気になるのがここへ来てエンジンのかかりが遅い攻撃です。この図はJリーグ公式記録から得点の時間帯を調べたものですが、全体を見ても15分までと16~30分に点を奪い、前半から自分たちの形を作ることが勝利に繋がっていることがわかります。
その形を作る上でも清水とミキッチの攻撃時の高い位置取りと高萩、森崎浩司、森崎和幸、青山の中盤で敵を引きつけるプレーが重要となってきます。これが優勝へ向けてのプレッシャーなのかどうかは選手や監督にしかわからないですが、引く時間が長すぎて清水とミキッチの攻め上がる時間が少ない点は気がかりです。。
やはりサンフレッチェの調子のバロメーターはここにあると思うので残り2試合となったリーグ戦ですがそこを注目してみていきたいですね。ちなみに次節はミキッチと千葉が累積警告で出場停止となりますが、サンフレッチェが勝ち、ベガルタが負けるとサンフレッチェの優勝が決まります。
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