ブラジル
4 - 0
日本
12
パウリーニョ
26
ネイマール(PK)
48
ネイマール
70
カカ
日本代表 欧州遠征2連戦で見えた課題
■ フランスには劇的な決勝ゴールで勝利を収めたものの、ブラジルには0-4で敗れた日本代表。2014年ブラジルW杯ヘ向けて見えてきたザックジャパンの戦術の特徴と課題を考えてみます。
まず『現状の4-2-3-1システムで世界の強豪国に通用するのか』これが大きなテーマであったと言ってよいでしょう。それを考える時のポイントとして
①攻撃面ではCFをどう使うのか
②守備面ではダブルボランチとCBは個の突破に対応できるのか
③控えをどう起用するのか
④両ボランチの出場時間
⑤CBの層の問題
このあたりが考えるべきポイントなるでしょうか。そこでこれらのポイント一つ一つを分析していきたいと思います。
①攻撃面ではCFをどう使うのか
本来は
前田遼一をワントップで使うことで今までのアジア勢との対戦時と比較する大きなチャンスでした。しかし直前に負傷辞退となってしまったことでフランス戦はハーフナー・マイク、ブラジル戦は
本田圭佑を起用することを余儀なくされました。これによってこれまで築いてきたの連携が消えてしまっていたのが攻撃がスムーズに行かなかった理由のひとつでしょう。
それでも本田が入ったブラジル戦の後半は、トップ下に入った
香川とタテのラインを作り有効に活用できた場面もありました。中盤に二人を並べるとどうしてもポジショニングが被ってしまうため、
本田のワントップはこれからも考えていくべき戦術オプションの一つではないでしょうか。
この場合、
本田が下がってボールを受けに来ることで、前線の枚数が足りずに攻撃が停滞してしまうことは避けられません。特にキープ力のある
本田がクサビとなった後の攻撃がどうしてもワンテンポ遅れてしまいます。
固定されたセンターフォワードがいることが望ましいのですが、現代表でポストで捌くこともできゴールも狙える選手となるとここまでの代表メンバーでは前田しかいないのが現状です。この問題が個人的には一番の課題だと思います。やはり強豪相手に点を取る形が作れないのでは勝てる可能性は薄くなります
②守備面ではダブルボランチとCBは個の突破に対応できるのか
これに関しては長谷部誠-遠藤保仁と吉田麻也-今野泰幸の4人の守備時の対応の話です。この四人は現在代表でも不動で今後も主軸として起用されるでしょう。
しかしフィジカルと高さのあるフランスやテクニックのあるブラジルの個人能力の高い相手との一対一ではなかなか勝てる場面がありませんでした。
このあたりはさすがに仕方ない面があります。なので組織的な守りでの対応が必要になりますがどう対処すべきなのか。
フランス戦は自陣に完全に引いてしまったこともありなんとか失点を免れました。ところがブラジル戦では攻めに打って出る機会も多く、結果として攻めに人数を割いたところをロングカウンターで一気にブラジルの得点チャンスに繋げられるといった場面が多くありました。
南アフリカW杯でもそうでしたが、完全に守備にシフトしてしまえばなんとか無失点、あるいは1失点で守りきれる力は今の日本についてきています。なので現状は守る時間帯と攻めの時間帯の切り替えが必要でしょう。そうなると格上にはじっくり守る必要があるため、相性的にも連携面を考えてもこの四人でいけるのであればそれがベストでしょう。
③控えをどう起用するのか
サッカーにおいて途中交代のオプションはプラスにもマイナスにも大きく戦況を変えます。もちろん監督によって様々な特徴が見られることがあります。
ザックの場合は接戦の時は極力カードを使わず現状維持の策を取ることが多く、W杯最終予選ではそれがより顕著に出ています。
今回は親善試合ということもあり6人までの交代が許されていることもありどう出てくるか見ものでした。
この二戦での主だった交代は長谷部誠→細貝萌、内田篤人⇄酒井宏樹、中村憲剛→乾貴士の交代がありました。この中で上2人は同じポジションで入れ替わっただけでしたが、乾投入には香川真司をトップ下に移すという展開を変えていく上での戦術上の理由がありました。
結果的に二列目を乾、香川、清武弘嗣の形に替えたことで攻撃の仕掛けの起点が増えて活性化しました。これをオプションとして使っていく可能性は今後もありえそうです。
細かいパスをつないでいくスタイルの日本代表の中では流れを変える存在は不可欠ですやはり乾のようにドリブルで前へ仕掛けていく選手は重宝されるでしょう。このスタイルの選手としては宮市亮や宇佐美貴史も期待されている選手なので競争が激しくなって欲しいものです。
④両ボランチの出場時間
ここの問題に関しては以前から遠藤への負担が大きく替えが効かないことと後継者の不在が囁かれていました。それに合わせ、ここにきて長谷部がクラブで出場機会を得られないことから試合勘が鈍り、過去最低レベルのパフォーマンスを見せます。その後、途中交代で入った細貝も同じくクラブでの出場機会に恵まれず役割を務めきれませんでした。
これまで遠藤と長谷部の不動の2ボランチが安定したパフォーマンスを見せてきたこともあり、また代わりに起用した選手も安定しなかったため先送りにしてきた問題でしたが、それがここに来てさらなる問題を産んでしまいました。
ここまで固定してきた分早急にこの問題に取り掛からなければ、守攻の切り替えが最重要の現代サッカーにおいて大きな欠陥となってしまします。レギュラーはこの二人に任せるとしてもバックアッパーの人材起用にはとりかかるべきでしょう。
⑤CBの層の問題
今回に関しては吉田と今野が怪我もなく出場でき、栗原勇蔵も控えに入ったことで問題はありませんでした。CBに関してはこの三人と伊野波雅彦の四人をアジアカップからコンスタントに起用しているのでザックの中では揺るぎない陣容になってきているのは間違いないでしょう。
怪我と出場停止でいなくなるような緊急事態が起きない限りはこのままではないでしょうか。
これらを踏まえた上で現状の4-2-3-1システムで世界の強豪国に通用するのかどうかと問われると個人的には通用するレベルには達していないと感じました。もちろんベストの陣容と調子で挑めばもっと良い勝負は出来たという声もあるかもしれません。しかし相手にとってもそれは同じであり、そこを埋められるか否かも強さの一つです。攻守ともに世界トップレベルの壁は厚く、現状はW杯ベスト8の壁を越えることが目標なのだと改めて感じさせられました。しかしこれまでわからなかった世界との距離を図れたことは大収穫です。選手たちもこの差を肌で感じていたようなので、先へ向けて期待のできる2連戦になりました。
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