マンチェスターC 1st
0 - 1
チェルシー 3rd
32
イバノビッチ
マンチェスターC
ペジェグリーニ監督
「少なくとも2ゴールは挙げられるチャンスがあった。しかし、決められなかった。ポストに嫌われたのも2、3回あったね。アグエロとフェルナンジーニョを欠き、チェルシーとの試合はとても接戦になった。(サミル・)ナスリもハビ・ガルシアも不在だった。中盤を変更しなければいけなかったんだ」Goal.com
65%のポゼッション率、400本のパス(チェルシーは半分以下の191)24本のシュートを放ちながら無得点に終わり、ホームでの連続得点記録も61で途切れてしまったシティ。(マンチェスターUの66が最高)順位も2位へ再び陥落し、プレミアの首位争いは接戦となっている。
前半開始から右の
サバレタ、
Jナバスがサイドから駆け上がりクロス、あるいは
ネグレドが左サイドへ流れてクロスと言った場面はあったものの、チェルシーの強固な中央の守備に遮られシュートは枠へ飛ばない。さらにその後はチェルシーの守備陣打開に苦しむこととなった。
デミチェリスのビルドアップとチェルシーの守備
この試合では
フェルナンジーニョが負傷のため出られず、その代役として
デミチェリスが起用されたのだが、やはり準備不足の感は否めなかった。そこでどこにそれを感じたのかを解説していく。
Yトゥレ&デミチェリスの攻撃の組み立て
①まずはチェルシーが引いて守備を敷いた時の、
Yトゥレと
デミチェリスの2人の攻撃の組み立て場面から。
この時点では2人のパス交換には
ウィリアン一人がチェックに来るだけで、比較的プレッシャーは少ないように見える。だが、前線の選手との距離は遠く、縦への攻撃は展開できそうにない。中盤も右の
ラミレス、中央の
Dルイス、
マティッチに加えて、トップの
エトーが中盤左サイドの守備を構成。さらに、
Yトゥレが
デミチェリスにパスを出した瞬間、
マティッチは一気に距離を詰めてスペースを埋めてくる。
②それに加えて、左から
アザールも近づいて3人でコースを消しにきたことで完全に前への攻撃の道は絶たれた。
ネグレドを加えた攻撃の組み立て
①2人で打開できなかったマンチェスターC。そこで
ネグレドが前線から下がり、それまであった中盤のスペースへ入って状況を変えようとする。まずは
デミチェリスが
ウィリアンが寄ってきたところで、
ネグレドに縦パスを通す。
②パスを受けた
ネグレドはワンタッチで
デミチェリスに再びリターン。
②このように前線から一人が下がって組み立てに参加する事で、左サイドに張っていた
コラロフが空いてパスが通る。
④かと思われたが、
デミチェリスはそこに通せず、再び自陣に戻って立て直すことになってしまった。ここで
フェルナンジーニョのようにリスクを負ってでも前へ出る、あるいはパスを通す意識があればゲームの展開も違っていたのかもしれない。
分厚さのある中盤のパスワークがなく停滞。やはり
アグエロ、フェルナンジーニョ、ナスリ、Jガルシアといった攻撃でアクセントを付けられる選手が不在だったことは痛手になった。
チェルシー
モウリーニョ監督
「我々は全体をコンパクトに保ち、よく守ったと思う。今回の勝利は、ペトル(チェフ)がいくつかの素晴らしいセーブを見せてくれたからであり、守備的な選手たちが良いプレーを披露してくれたからだ。また、中盤の選手たちがハードワークに励んだ賜物であり、攻撃陣の献身的なプレーのお陰でもある」 ◆プレミア初先発のネマニャ・マティッチについて 「私は毎週末、ポルトガルリーグでプレーする彼の姿を見ていた。だから、プレミアリーグでプレーする準備ができていることはわかっていた。彼を失いたくなかったから、我々は彼を獲得したんだ。そのためにクラブは素晴らしい努力を見せてくれた」チェルシー公式
チェルシーは上記の展開のようにシティの攻めを防いだ直後、逆にチェルシーのカウンターチャンスが回ってくることとなった。
決勝点のシーン「アザールの左サイドから右へ流れ相手を撹乱する動き」
①自陣でボールを奪い、
エトーが一旦後ろにパスを戻したシーンから。まずそのパスを
アスピリクエタがワンタッチで前線のスペースに蹴りだす。それに
アザールがいち早く反応しボールを受けるが、
デミチェリスも体を当て前への侵入を許さない。
②さらに上がっていた
サバレタも戻り2人で囲い込むが、
アザールはこれを難なく交わし、中央へ侵入する。
③この時点で
デミチェリスはまだ左サイドにおり、中盤の守備は
Yトゥレ1人になってしまう。そこで
アザールは右にいた
ラミレスへパスを出す。当然
ラミレスはフリーとなるので、センターバックの
ナスタシッチが対応へ。
④ここで前に出た
ナスタシッチだが、
ラミレスはすかさず右サイドからオーバーラップしてきた
イバノビッチへパス。その間に
アザールは最終ラインの裏から右へ流れていく。そして
デミチェリスは元のポジションに戻らずまだ左にいる。
⑤ボールを持った
イバノビッチに対し、
コラロフが前に出て中へのパスコースを消す。だがここで
アザールがそのスペースにタイミングよく飛び出す。
⑥PA内に侵入したチェルシー。
アザールには当然
ナスタシッチが対応に行くが、今度は中央が空いてしまう。こうして
アザールからパスを受けた
ラミレスはシュートまで持ち込んだが、
コンパニーがブロック。
⑦そのルーズボールPA外に転がったが、
イバノビッチが
Yトゥレより素早く反応し左足でシュートを突き刺した。
これを見てもらえば、
アザールがいかにパスワークに絡みながらマークを外し、左から右へ流れてチャンスメイクしているかが分かるだろう。ドリブル突破ばかりが取り上げられるが、オフザボール時の動きも一流である。
こうして先制したチェルシーは
テリー(187cm)、ケーヒル(188cm)、Dルイス(189cm)、マティッチ(194cm)の強固な中央のボックスに加え、前線からのチェイスもしっかり機能し、危なげなく逃げ切ることの成功すた。
特に
マタからポジションを奪い取った
ウィリアンはフィジカルも強く、前線からの守備を厭わず左右自在に顔を出しチームに貢献している。また、
アザールとのパス交換等周りも見える選手であり、連携が上がっていけばさらなる活躍も見込めるだろう。