チェルシー
2 - 2
トッテナム
11
オスカル
20
アデバヨール
26
ラミレス
39
シグルドソン
ベニテス監督
「4、5回のカウンターがあった。それで試合を決めることができたかもしれないが、うまくいかなかったね。3点目を奪って、試合を決めてしまうチャンスはあったんだ。失点については、どちらももっとうまく対処できたと思う」
「前半は我々が支配していた。後半はオープンな展開になりすぎた。トップ4を決めるため、あと1試合は勝たなければいけない。我々はトップ3を狙っているから、2試合とも勝つつもりだ。カウンターでもっと何かをしなければいけないね。トッテナムをたたえなければいけないところもある。彼らはプッシュしていたよ」
Goal.com
ビラス・ボアス監督
「後半は良いテンポで試合ができて、良いパフォーマンスだった。これから誰かが勝ち点を落としてくれなければ(4位以内は)不可能だ。自分たち次第という状況ではないね。とにかく、我々は自分たちのやるべくことをする。プレミアリーグでは何でも起こり得るから、信頼を保たなければいけない」
「勝ちたかった。ただ、フィーリングとしては悪くない。自分たちの目標に向かって努力を続けることだね。アーセナルとチェルシーに何かが起こることを祈る。残留争い中のチームとの対戦も残っているしね。アーセナルはウィガンと対戦するし、チェルシーはアストン・ヴィラとの難しい試合がある。我々はストーク・シティとのハードな試合が待っているね」
Goal.com
■三つ巴のチャンピオンリーグ争いが続くプレミアリーグ。勝ち点68の3位チェルシーと勝ち点65の5位トッテナムの対戦はチェルシーが前半から1点リードで終盤まで進めるもトッテナムが得意の粘りを見せ1点を奪い、ドローゲームに持ち込んだ。
これだけを見るとトッテナムは可能性を残したように感じるが、得失点差が26あり、チェルシーが残り2試合を落とさない限りチャンピオンリーグ本戦へのストレートインは厳しい状況となってしまった。なので、後は勝ち点1差で追うアーセナルから4位を奪えるかどうかが全てだろう。(ちなみに直接対決はないので相手が勝ち星を逃すことを祈りながら勝つしかない)
ではここからは両チームの戦術を分析していく。
チェルシー
チェルシーは11分にマタの右からのゴールに巻いてくるコーナーキックをケーヒルが角度を変えると、ゴール前のオスカールが詰めヘッドでゴールを決めて幸先良く先制点を奪う。
こうして流れを自ら呼び込むと、トッテナムのマークが緩いことも合って、バイタルエリアやゴール前で前を向いてボールを持てる時間帯が続いた。その中でもラミレスの三列目からの飛び出しの多さが目立っていた。
それにも関わらず、アデバヨールにロングカウンターからあっさりゴールを決められトッテナムが中盤でのプレスを強めてくる展開になったのだが、主導権を握っていたチェルシーはそれを難なく対処し勝ち越し点へ繋げる。
■ サイドヘDFを引きつけておいてのラミレスの飛び出し
その対処法はまさにゴールシーンで有効に機能していた。トッテナムは同点後中盤のプレスを積極的にかけたのだが、それに対しチェルシーはピッチ全体を使ったパス回しで対抗する。こうしてトッテナムの守備を振り回し、サイドに選手を引きつけておいて中の空いたスペースを使い、飛び出しの多かったラミレスがここでも機能しゴールを奪った。
①後方からパスを受けたら
ラミレスがサイドへ開いた
トーレスへパスを出し、
②そのまま前方のスペースへ走り出す。この時は後ろからマークに突かれているが、
③
ホルトビーは
トーレスを囲い込むためサイドへ。
④こうしてフリーになった
ラミレスを今度は
フェルトンゲンが見ることとなる。
⑤しかし
トーレスが
オスカールとの連携で抜けだすと中に切り込んで来たため、
フェルトンゲンはそちらをチェックせざるを得ない状況に。
⑥こうして出来た裏のスペースに
ラミレスがフリーで走りこみ、
ドーソンが慌ててチェックへ行くものの、
⑦間に合わずに、
ラミレスに得点を許してしまった。
長距離のランでフリーでゴール前に飛び込むプレーといえば、昨季のチャンピオンリーグ準決勝セカンドレグでのバルサ戦でもみごとなループシュートでゴールを決めたシーンを思い出すが、今回も華麗なカウンターでゴールを決めてみせた。
リードして迎えた後半も前から積極的に圧力をかけ、ショートカウンターに繋げて何度も決定機を作った。こうして後はフィニッシュだけという状況を何度も作りながらも追加点を奪うことが事ができなかった。その結果がまさに勝ち点に出てしまったといえるだろう。
二列目のオスカール、マタ、アザールのポジションチェンジと機動力はプレミア屈指の攻撃力を誇っているといってよい。それだけに来季再び優勝争いをするならストライカー獲得が待ち望まれるのも必然だろう。特に話題に上がるファルカオ獲得が出来れば楽しみな来シーズンとなることは間違いないだけに期待は高まる。
トッテナム
今日のトッテナムは良いゲームは出来ていなかった。前半は常にチェルシーに先を行かれ後手に回った結果、上手くあしらわれてしまった印象が強い。後半に関しても中盤でボールを奪われてはカウンターという構図を繰り返し圧倒されていた。
そのひとつの原因として、
先週の試合で
デンベレが負傷したため
パーカーと共に2センターで配置された
ハドルストンの中盤でのプレーが挙げられる。この試合でも前線へのロングパスは効いていたが、やはり繋ぎの場面でのパスミスやボールロストも多く、攻撃の起点としては上手く機能していなかった。これに加えて、調子の良し悪し以前にチェルシーの前線に小柄で素早い選手が多いこともミスマッチとなっていた事も大きな理由ではあったのだが。
それでも2得点を奪い勝ち点1を取れたのはアデバヨールのゴール前での違いを見せたプレーの結果だろう。先制点の自陣からのドリブル、そしてファーへのシュート巧さ。さらには2点目のヒールでのアシストと調子の良い時のアデバヨールはやはりワールドクラスのプレーヤーだと再認識させられた。そして先制点の場面ではレノンのダイアゴナルランによる影のアシストも素晴らしかった。これをSky Sportsで上手く解説していたのでそれを使用して紹介したい。
■ 敵を引き付けるレノンのダイアゴナルラン
ボールを持ってドリブルで駆け上がる
アデバヨールに対して、右から左へ走り込んだ
レノン。この一連のプレーによって
レノンの裏への飛び出しを警戒したチェルシー守備陣は下がらざるをえなくなり、結果的に
アデバヨールにフリーでシュートを打たせることとなってしまった。
【フットボール戦略論】
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