アーセナル
0 - 0
エバートン
ベンゲル監督
「インテンシティーの高い試合になった。しかし、勝つチャンスはあったと思う。90分の頑張りを誇りに思うが、チャンスを生かせなかったことには多少の失望があるよ」
Goal.com
モイーズ監督
「簡単な試合ではなかった。もちろん勝ちたかったが、勝ち点1で失望することはない。多少の運があったし、良い守備も見せられた。後半は多くのチャンスがなかったが、ここ(アーセナルのホーム)でたくさんのチャンスがないことは、どの監督も分かっていることだよ」
Goal.com
■ ここ5試合リーグ戦負けなしの両者は互いに攻め手を欠きスコアレスドローに終わった。このゲームで得点の入らなかった理由としてどちらにも共通する点がひとつあった。
それは二列目からの積極的な飛び出しがなかったこと。これによって両チームのセンターフォワードは孤立してしまい前を向いてシュートを打てるチャンスが少なかった。
まずアーセナルを振り返ると今日先発したジルーは何度かラインを挙げた相手の裏のスペースへ飛び出す動きを見せていた。しかしディスタンとジャギエルカの両センターバックに挟まれシュートコースを尽く防がれてしまった。
この時にジルーが囮になって上手くウォルコットやSカソルラも飛び出すことが出来ればうまくいっていたかもしれない。
そのなかでも一度あった90分のアルテタの飛び出しはこの攻撃パターンの例としてわかりやすいので挙げておく。
■
アルテタの前線への動き出し①まず中盤後方でボールを受けたアルテタが左サイドに開いたポドルスキへパスし前へ走り込む。この時に前線のSカソルラがそのボールを受けに来ると事でそこにポッカリとスペースが出来る。
②本来ならここでギブソンは守備のカバーに入るべきだった。
③こうしてSカソルラは走り込むアルテタへパスを出す。
④これで一気にフリーとなったアルテタ。そこへジルーをマークしていたディスタンがカバーへ入る。
⑤ここでアルテタはジルーへパスを出す選択肢もあったが、奥からベインズがチェックに入ってきたこともあり自ら侵入することを選ぶ。
⑥しかしディスタンが上手く縦に入りアルテタは切り返すもコールマンも戻りゴールには結びつかず。それでも飛び出しと崩しのアイディア自体は理想的なシーンだった。
同じくエバートンもアニチェベが左右に流れなんとか前線でボールを収めるも、そこから詰まってしまい展開できない場面が見られた。ここで二列目のピーナールやバークリー、ミララスが中央への飛び出しが欲しかった。
こちらもゴールにはならなかったものの前半6分のピーナールの飛び出しはタイミングは抜群だったので挙げておく。
■ピーナールのタイミングを図った動き出し
①まず右のコールマンがサイドから持ち上がる。この時にトップのアニチェベはコシールニーとメルテザッカーの両センターバックがマークし、中に入ってきたピーナールはサーニャがマークに入っている。
②ここでコールマンが縦へパスを入れる動作に入ってる。それを見てアニチェベはボールを受けに行く。この時、裏でピーナールは角度を変えゴール方向へ走り込む動作に入る。
③そしてアニチェベは体を張りボールを受ける体制に入り、裏のピーナールは走り込み最終ラインに並ぶ。
④このボールは前に流れ、真ん中にいたメルテザッカーは付いて行くことができず、サイドバックのサーニャも流石に抑えられない。
⑤こうしてエリア内でフリーになるも、ボールが直前で浮いたこともあり上手くシュートを打てずフカしてしまった。しかしこのシーンはタイミングを見計らって上手く飛び込んだシーンだった。
⑥インパクトの瞬間にイレギュラーして浮いてまった。
このように得点は生まれなかったわけだが、もちろん両チームともそういったプレーをする気がなかったわけではない。ゲーム展開として開始から激しい中盤の主導権争いが続く展開になったことで、互いに相手のマークを外して上がる事ができなかったのだろう。
特に今日はフェライニがセントラルに入ったことで潰し合いはより激しいプレミアらしいゲームとなった。後半はエバートンが引き気味になったことでアーセナルの時間帯が続き、69分にはチェンバレンとポドルスキの同時投入で打開策を図ったがそれでも崩すまでには至らず。前回対戦と同じく五分の試合を演じた両チームはここからもチャンピオンズリーグ出場権をかけて最後までまけられない試合が続く。
【フットボール戦略論】
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