ブラジル
2 - 1
ウルグアイ
41
フレッジ
48
カバーニ
86
パウリーニョ
スコラーリ監督
「我々の任務は決勝進出だった。それを実現できたね。ワールドカップで優勝するためにはどうするべきかを学ぶのに、こういう試合に勝つことが必要だった。我々のチームはとても若く、こういう試合は成長する助けになるんだ」
Goal.com
タバレス監督
「『もし』とか『でも』とかを言うのは好きではない。だが、私に言えるのは、我々がPKを外したときに、それまでブラジルが欠いていた活気を与えてしまったということだ」
「カバーニにチャンスがあったが、シュートは外れてしまった。あれで運命が決まったんだ。決まっていたら、ブラジルに反撃する時間はなかっただろう」
Goal.com
攻撃のブラジルと守備のウルグアイ。両チームベストメンバーを揃え、確立したスタイルを貫く両者の南米勢対決は一瞬の隙が命取りとなるハイレベルな試合となった。
■ 流れを読んだスコラーリの采配
ウルグアイの守備網に苦しみながらも2得点を奪い決勝へと駒を進めたブラジル。今回はウルグアイのカウンターを警戒してか、グループリーグのように立ち上がりからエンジン全開で仕掛けてくることはしなかった。その結果、逆に序盤はウルグアイに付け入る隙を与えてしまったとも言えるのかもしれないが、これに関してはどちらが正解だったかというのは難しい。
しかし、それでも一発のチャンスをモノにしてくるブラジルは見事だった。41分のフレッジの先制点、さらに86分の2点目となるパウリーニョの得点は、共に前後半の終わり際の得点。この勝負強さがまさに今大会のブラジルの強さを表している。
スコラーリ監督の采配も見事だった。後半開始直後に同点に追いついたウルグアイが、ここぞとばかりにアグレッシブにボールを前から奪いに来たのに対し、ブラジルはフッキに替えて地元Aミネイロのベルナルジを投入。そうする事で観客を盛り上げスタジアムのムードを一転させ、再びブラジルペースに戻す。次にオスカールに替えエルナネスを入れてグスタボを底に、その前にパウリーニョとエルナネスを配置した4-3-3にすることで攻撃へのスイッチを入れる。
この策によってウルグアイは再びゴール前の守備を固めるしかなくなり、最終的にコーナーキックから決勝点を奪うことに成功した。後半開始直後にミスから同点にされたことは計算外の事だったかもしれないが、落ち着いて修正していく
スコラーリ監督はやはり経験のある監督だと改めて思わされた。
■
ブラジルの戦先制点のシーン「スペースを作る後方でのパス回し」
①中盤で
オスカールがボールを持ったシーンから。ここではウルグアイの守備陣は縦のパスコースを切り、ブロックを作っているため侵入もできない。そこで
オスカールは後ろの
Dルイスへ戻す。
②そこで
Dルイスは左サイドの
ネイマールにパスを出し状況を打開しようと試みる。しかしここにもサイドバックの
Mペレイラが素早くチェックに入ってくる。
③こうして
ネイマールの縦のコースも防がれるが、サイドへ寄った分、中央のスペースが空いてしまう。そして
パウリーニョはそこを見逃さずしっかりスペースに入ってくる。
④
ネイマールもそれに気づきパスを出すと、
⑤すぐさま
Mペレイラが上がって出来たスペースへ一気に走り込む。
⑥パスを受けた
パウリーニョには
Cロドリゲスが急いで寄せたが既に遅く、
ネイマールへの浮き球のパスを通されてしまう。
⑦こうしてペナルティエリア内に侵入した
ネイマール。
Mペレイラと
ルガーノに囲まれながら、且つ走りこみながらも吸い付くような胸トラップを見せ、
⑨GK
ムスレラと一対一の状況を作りシュートまで持って行った。惜しくもここは止められてしまったが、嗅覚に優れる
フレッジがしっかりこぼれ球に詰めて先制点を奪った。
■ ミスを逃さないウルグアイ
フォルランがPKをストップされた事もあり、惜しくも1点差で敗れてしまったウルグアイ。それでも自らのスタイルを崩さずブラジルと互角の勝負を演じ、もしかしたら勝つのではないかと思わせる戦いを見せたのは流石だった。
そこでどのように戦ったのかウルグアイの対ブラジル戦の戦術を見ていく。まずシステムは4-3-3で、前線にフォルランを残しスアレスとカバーニもブラジルのサイドからのビルドアップに対してチェイス、そしてプレスバックをかける。こうしてブラジルの組み立てを自由にさせず勢いを殺すと、そこからはフィジカルの強い後ろの7人がスペースに入ってくるブラジル攻撃陣に対して激しく体を当て潰しにかかる。こうしてブラジルの巧みな攻撃を防ぎ続けた。
それでもブラジルに2失点を奪われてしまったわけだが、これに関してはブラジルの攻撃精度が際立っていた事を褒めるべきだろう。1点目のパウリーニョのスペースへのパス、そしてそこに走り込んだネイマールのトラップはタイミング、精度とともに完璧な抜け出しだった。
その意味でこの失点は仕方ないとして、失点後もズルズルと下がってブラジルに主導権を奪わせず、後半のブラジルのミスを逃さずにきっちり決めて追いついたところは評価すべきだろう。守備もこなしつつ、ここぞで得点を奪ってくる
カバーニのゴールハンターぶりは、これぞセリエA得点王という抜け目の無さだった。欲を言えば
フォルランがベテランということもあり、同点にした後で勝ちに行くために交替投入できるような選手がいれば勝つチャンスもあったのかもしれない。特にウルグアイはW杯南米予選で現在5位と苦しんでいる事もあり、そういった選手の登場が待たれるところだ。
■
ウルグアイの同点弾のシーン「抜け目のないカバーニ」
①ウルグアイのワンタッチでのパス交換を遮断し、
Tシウバがルーズボールを拾ったシーンから。ここで
Tシウバは繋ぐ意識からかエリア内の
マルセロにパスを出すが、
カバーニはこれを見逃さなかった。
②
マルセロへのボールをファールなしに上手く奪うと、
③左足で鋭いグラウンダーのシュートを突き刺した。こうして後半立ち上がりに同点に戻したウルグアイは勢いに乗ることとなった。
■ 関連試合
2013/06/20 コンフェデ杯 A組4 ブラジル v メキシコ
2013/06/15 コンフェデ杯 A組1 日本 vブラジル