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フットボール戦略論

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2013/06/07 親善試合 ブラジル v フランス




  ブラジル
3 - 0
  フランス

54   オスカール
85   エルナネス
92   ルーカス


  スコラーリ監督

  デシャン監督


ブラジルに対しここ最近5戦無敗のフランスだが、コンフェデレーションズカップ前のラストマッチとなるブラジルが後半に3得点を奪い快勝し、16日に初戦の日本戦を迎える。



■ ブラジル


先週のイングランドとの一戦は終盤に追いつき2-2で終えたブラジル。この日も前半開始から守る時間が多くフランスに攻め込まれるが、その時間帯を乗り越え30分辺りからブラジルにペースが流れ始める。特にネイマールフッキオスカールが互いにポジションチェンジをして守備陣をかき回し、更に裏へ飛び出すことでチャンスを作り出すことに成功していた。


しかしブラジルの期待を背負うネイマールは、左サイドでボールを受けた時にドゥビュシーに押さえ込まれる場面が多く持ち味のドリブルテクニックは鳴りを潜めた。


それでも今のブラジルには武器がある。それが相手を前に引っ張りだしてからのカウンター攻撃だ。今回も先制点、そして2点目共に理想的なカウンター攻撃が決まった形での得点だった。そこで得点シーンを見ていきたい。


■ ブラジルの先制点のシーン「敵陣でボールを奪ってのショートカウンター」


①フランスのドゥビュシーが前線のヴァルブエナに縦パスを出し、更にリターンパスを貰いに前へ走り込む。しかし、これに対しグスタボが激しくチェックにいき、



②中盤の潰し役としてしっかり役目を果たす。



③こうしてボールが前のフレッジに渡り、飛び出していたドゥビュシーは裏を取られる形に。



④ここで2対3の状況を作り出されたフランスだが、アンカーのギラボギがすぐに戻り、



フレッジの足止めに成功する。



⑥しかしフレッジは冷静だった。ここで焦って縦にドリブルせず、しっかりギラボギラミのパスコースを確認しオスカールへパスを送る。



⑦さらにオスカールもボールを受ける前にラミサコーの間にポジショニングすることでシュートコースを作り出しゴールを決めた。このゴール前での冷静さは流石ブラジルといったところか。


■ ブラジルの2点目のシーン「自陣でボールを奪ってのロングカウンター


①コーナーキックのクリアボールをトラップミスしてしまったパイエ



②そこを見逃さなかったパウリーニョが早い寄せでボールを奪い、


ドリブルで持ち上がり一気にカウンターとなり3対2の状況へ



④ここで右のルーカスへパスを送る。



⑤ボールを受けたルーカスは落ち着いてゴール前を確認。この時ファーでネイマールが手を上げてアイコンタクトを取る。



⑥そこへクロスを上げるルーカス、そしてこれに対して後方から戻って来たドゥビュシーギラボギは急いでゴール前へ。



⑦ゴール前に戻ったフランス守備陣。しかしここでもネイマールは慌てずフリーのエルナネスへボールを落とす。



⑧そしてここでも先制点と同じようにしっかりゴールが見える位置にポジショニングし追加点を挙げた。


こうしてスペースを使うことで、フィジカル的に強くはないオスカールネイマールといった選手をフィジカル勝負に挑ませず生かすことができるのがカウンター攻撃の強みでもある。さらに交替で出た選手たちが遜色なく、むしろ点に絡んでくるのがブラジルの怖さだ。今回もルーカス、そしてイングランド戦に続きエルナネスがゴールを奪い勝利に貢献している。こうしてカウンターが洗練され、ポゼッション時にまで活かせる戦術が生まれれば、ブラジルは更に強くなることだろう。



■ フランス


敗北を喫したフランスも立ち上がりは決して悪くなかった。ボールを奪うと自在にポジショニングするヴァルブエナマテュイディキャバイエらを中心にテンポ良くパスを繋ぎ、更にライン裏まで飛び出していくことでチャンスを作り出す。


こうしてブラジル守備陣を崩す場面はあったものの、トップに入ったベンゼマが下がってボールを受けたがるためシュートまで行けず、さらに球離れが遅い事もあり徐々に攻撃は停滞。後半も先制点を許してからは引いてブロックを作り時間が多くなり、奪ってからの繋ぎもブラジルのプレスの網にかかりパスミスが多く完全にペースに飲み込まれ3失点を食らい完敗してしまった。


自ら仕掛けて違いを作れるリベリがいなかったことも得点が奪えなかった理由にはなるのかもしれないが、ビッグクラブに所属するベンゼマジルーにはもっと活躍して欲しかった事も確かだ。

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野中 邦定
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