Rマドリー
1 - 2
(1-1 延長戦0-1)
Aマドリー
14
ロナウド
35
ゴディン
99
ミランダ
モウリーニョ監督
「私のキャリアにおける最低のシーズンだ。スペイン・スーパーカップ優勝だけでは、私にとってもレアル・マドリーにとっても十分ではない。これまでのキャリアでは、重要なタイトルを獲得せずにシーズンを終えたことはなかった。スーパーカップは少しの意味しか持ち得ない」
「スコアが1-1の時点で、ポストに当たったシュートが3本もあった。これは普通のことではない。我々は90分間で勝利を収めていたはずだった。延長戦でも2度も決定機を迎えており、この結果は我々にふさわしいものではなかった。
コパ決勝前日会見など、多くの会見を欠席していることにも触れた。
「私が身を隠したことは一度だってない。モウリーニョは常に責任を負っている。この3シーズン、敗戦した試合では会見に出席してきた。」
シメオネ監督
「チームは、各選手のハートによって勝利を収めた。恐怖を捨て去り、また持つべき運も手にしていたね。我々は自尊心と巨大な気概でもって、この試合に臨んだ。試合前からマドリーの方が優れていたことを認め、そんな彼らを相手に優れたプレーを見せることができた」
「グループがなければ、チームは存在しない。我々は団結したグループであり、だからこそチームとして成り立ったんだ」
Goal.com
■ Rマドリーに対し、公式戦で21戦勝ちなしのAマドリー(以降アトレティコと表記)がついに勝利。今年もリーグ戦で勝利できず、今回もその流れでRマドリーが勝つのだろうな、と思っていた。それだけにコパ・デル・レイ決勝という最高の舞台で勝てたことは、本当に素晴らしい結果であったし、サポーターも悲願の勝利が優勝に繋がり、シーズン終盤で喜びを味わうこととなった。
では両チームの今回の戦い方を見ていく。
■ Rマドリー
Rマドリーは開始からアトレティコ相手にポゼッションを奪い続け、しっかりと序盤のペースを握った。そして流れを自ら呼び込むと、エジルの右コーナーキックをロナウドがゴディンのマークを外し、まさにロナウドらしい打点の高いヘディングで先制点を呼び込む。このゴールは10-11シーズン、バルセロナ戦の延長戦決勝ゴールを彷彿とさせるもので幸先の良いスタートを切った。
こうして先制点を取ったRマドリーは後ろから落ち着いてボール回しをし始める。しかし、これによってAマドリーに中盤でボールを奪う機会を作られ、付け入る隙を与えてしまうこととなる。この結果が35分の失点へと繋がることになってしまった。
特に今日の布陣で問題となったのは右サイドバックに入ったエッシェンだろうか。本来の獲得理由はサブメンバーとして負傷時の戦力をカバーしていく役割を担うはずだったが、怪我人が続出したことで多くの出場機会を得ることとなった。
実際試合で見ていても、読みや当たりの強さといったところはまだまだトップで通用する選手だと感じさせられたが、サイド攻撃という面ではやはり適正ではないためなかなか崩し切れない。さらにアトレティコのアルダとFルイスが素早くプレスに来るため、なかなか起点にもなれない状況が続き、同点に追い付かれる一因となってしまっていた。
同点に追いつかれた後は、再び勢いを強めるが90分戦っても点が入らず、延長戦でセットプレーから失点し敗れることとなってしまう。この内容についてはあえて語らない。というのも、Rマドリーはポゼッションを握り攻撃が機能していなかったわけではないからだ。
ラインを押し上げ相手を自陣に入れ、トップ下に入ったモドリッチのゲームメイク、アロンソのフィード、ケディラの飛び出しで中盤を支配し攻撃を作るRマドリーのパターンはできていた。にも関わらず決められなかったのは前線のエジル、ベンゼマが決定的なチャンスでシュートをポストに当て、さらにロナウドのフリーキックまでもがポスト直撃と3度のチャンスを全てフイにしてしまったからだ。
モウリーニョ監督も語っているが、強敵相手にこれでは流石に勝つのは難しく、チャンピオンズリーグ準決勝セカンドレグでも同じように決定機を外しているだけに、来季の優勝のためにもロナウド以外の前線の選手には向上が求められる。特にベンゼマとイグアインは毎シーズン2桁得点は記録しているだけに、ゴール前でもっと恐れられる存在になって欲しい。
■ アトレティコ
アトレティコがRマドリーに勝てた要因を考えると、まず失点直後も慌てず自分たちのサッカーを貫けたことが大きい。特に、今年のこれまでの対戦では焦りからか前への意識が強くなり、そこを突かれてのカウンターからの失点が敗因となっていた。
しかし今日は慌てることはなかった。相手にペースを握られても下がって守備を固めつつ、中盤ではプレスをしっかり掛け勢いを止める。攻撃では前線のファルカオが下がってボールを受け起点となり、Dコスタはコエントランの上がったスペースの裏を突き走り込む。更に中盤では怪我から復帰して以降チームを引っ張るアルダがキープ力、展開力を見せ、左サイドではFルイスとともにうまく連携の取れたプレーを見せていた。
こうして決定的なチャンスが35分に訪れる。左サイドからロナウドがドリブルで持ち込むと、これをMスアレスが見事なタックルでボールを奪い前線にパスを出し、一気にカウンターに入る。センターサークル付近に下がってパスを受けたファルカオは、すぐさまプレスに来たアルビオルとケディラに対してフェイントを使い、二人を抜き去る。さらに、タイミングよくダイアゴナルに走りこんだDコスタに対しパスを送ると、Dコスタが自らゴール前まで持ち込みDロペスの腕を弾く力強いシュートを決めて同点に追いついた。
その後はRマドリーに責められる場面も多く、ポストに救われる決定的な場面も作り出されるが、なんとか無失点で踏ん張り延長戦へ突入する。その延長戦でも前半にイグアイン、後半にはエジルにシュートを打たれるも守護神クルトワのビッグセーブでゴールを許さなかった。
こうして相手の攻撃に耐え、コーナーキックからの流れでコケのクロスにミランダがファーに飛び込みついに決勝点を取り、勝利したアトレティコ。内容だけを見れば理想的なサッカーは出来ていなかったかもしれないが、シメオネ監督の理想とする固い守備の構築という戦術を体現し、昨季のヨーロッパリーグ制覇に続き、今年も国王杯を制し2期連続のタイトルホルダーとなったことは高く評価されるべき成績だ。
【フットボール戦略論】
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