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フットボール戦略論

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2013/05/11 J1 11節 ベガルタ仙台 v 大宮アルディージャ





  ベガルタ仙台
2 - 1
  大宮アルディージャ

07   赤嶺
44   ウィルソン
60   ズラタン


 手倉森監督
「これまで、大宮の前で沈んできたチームに対して、少し大宮に自由にサッカーをやらせていた部分があったのかな、ということをスカウティングして、「我々は積極的に前からプレッシャーをかけにいこう」という話をしてゲームに入りました。」

「セットプレーが我々のストロング(ポイント)でもあるし、こじ開けるチャンスでもあるなというところで、赤嶺が抜け目なくあのこぼれ球を狙ってくれていました。」
V仙台公式

  ベルデニック監督
「仙台の球際の激しさ、切り替えの速さには非常に驚かされました。」

「サッカーのクオリティとは、ボールを大事に、チーム全体で共通理解を持ってプレーし、その中で揺さぶり崩していくことで、そこにサッカーの本質があると思います。ロングボールからのセカンドボール争いや、球際での闘いに価値観を持つことは十分ではありません。それもサッカーで勝つための要素の1つではありますし、否定するつもりはないのですが、いかに自分たちが「サッカーをプレー」するか、そこに本質があると思っています。」
大宮A公式


■ 昨年から続く大宮アルディージャの21戦無敗を止めたのは、無敗記録の前にアルディージャが最後に敗れた相手、ベガルタ仙台だった。そこでにチームの明暗を分けたものは何だったのか探っていきたい。

ベガルタの積極的な高い位置からの守備



ベガルタは前半早々に太田の右コーナキックの流れから赤嶺がアルディージャの最終ラインに並び上手くボールを受けシュートを決め、まずリードを奪うことで主導権を得ることに成功。


そして、その後の対応が今日の勝因といってよいだろう。1点を追うアルディージャに対し、受け身にならずに、前から前からボールを追いかけ最終ラインにプレッシャーを掛ける。更に中盤にまで攻めてきた相手に対しても、角田富田が激しく体を当てに行き自由にボールを持たせない。


こうして、リアクションサッカーのアルディージャに対してボール奪取後のパスをカットすることで、速攻を断ち切りペースを握らせなかった。


攻撃に関してもサイド裏へパスを出し、太田リャンにボールを集めるサイド攻撃が目立っていた。正にそれが実ったのが44分のゴールシーンだった。スローインのボールを蜂須賀が奪うとリャン富田ウィルソンとワンタッチで華麗にアルディージャのプレスを交わす。そこからは左サイドからドリブル突破でウィルソンが2人を抜き去り、ゴール前まで一人で持ち込み今季4得点目を決め、前半でリードを2点に広げた。ウィルソンは昨年13得点でベストイレブンとなった活躍を今年も見せてくれそうだ。


しかし課題もあった。後半はプレスが止まるとラインがズルズルと下がってしまい、アルディージャにペースを握られ失点、その後も攻めを許す展開となる。ここでもう少しラインを上げられればここまで危ない試合にはならず、安定した試合運びが出来るようになり上位に浮上していくはずだ。


ベガルタの2点目の Aーワンタッチでの崩しと、Bーウィルソンの突破



Aーワンタッチでの崩し

①まず蜂須賀がスローインのボールをクリアし、リャンに繋ぐ。



②ここでリャンはチェックに来る今井に対し、



③ギリギリまで引きつけておいて富田にパスを出す。ここに対しても素早く金澤が寄せるも、




④ワンタッチで浮き球のパスをウィルソンへ通す。



⑤こうしてアルディージャの早い寄せを上手く利用して後方の守備を手薄にし、ここからウィルソンが独走状態に走る。そしてこの時、ウィルソンへチェックに行く菊地を上手く体と腕で抑え影の貢献をしていることも見逃せない。



Bーウィルソンの突破

⑥こうして抜けだしたウィルソンは、体を当てくる今井に対してフィジカルの強さを見せ、完全に抜け出す。



⑥こうしてフリーとなったウィルソンに対し、更に中央から勢い良く高橋が止めに来る。



⑦しかし、それをあざ笑うかのように緩急を使いボールを前に出し、あっさりろ交わす。



⑧こうして巧みなドリブルを見せつけ決勝点を奪って見せた。

アルディージャはなぜ負けてしまったのか



勝利はいつまでも続かない。どこかで負けるのは仕方がなく、今回のアルディージャにしても前半早い時間の失点、さらにその後もベガルタが気を抜かなかったことでアウェーの空気に飲まれてしまい、そのまま敗戦に繋がってしまった部分はあった。


そしてもう一つ。これまでのアルディージャは、まず相手の攻撃を潰しそこからの速攻で攻撃に転じてきた。しかし今日は逆にベガルタにそれをやられてしまった。これにはアルディージャが首位のチーム、強いチームとして認識された結果でもある。

残念ながらベガルタの堅守もあり同点に追いつくことは出来なかったが、後半は逆に追う立場になったことで、高橋の後方からのロングボールを起点にノバコビッチズラタンのコンビで1点を奪うことは出来た。


こうして後半は本来のサッカーを取り戻した感はあったが、これからも注目されることで対戦相手はしっかりアルディージャのサッカーに対策を取ってくるはずだ。そうした状況だからこそ老将ベルデニック監督のこれまでの経験によって蓄積された戦術・采配が試されることになるだろう。


■ 大宮アルディージャ過去試合分析
2013/05/06 J1 10節 サンフレッチェ広島
2013/04/26 J1 8節 柏レイソル
2013/04/20 J1 7節 浦和レッズ

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野中 邦定
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