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2013/05/30 親善試合 日本 v ブルガリア



  日本
0 - 2
  ブルガリア

04   マレノフ
71   OG(長谷部)


  ザッケローニ監督
「システムは2つを試した。ひとつはオプション(3−4−3)を試して、もうひとつは普段やったもの(4−2−3−1)だ。前後半を通して、それぞれのシステムで良いところはあったし、課題も大きく出た。その中で共通して言えることは、リズムが低い状態でプレーをしてしまうと、うちの良いところが出ないということだ。あとはゴールに向かうパスの供給率が少なかったようにも思う。」
スポーツナビ


  ペロフ監督
「ザッケローニはイタリア人ということで、わたしは彼のキャリアも知っているし、イタリアサッカーも詳しい。なぜならセリエAはヨーロッパ有数のリーグであるし、W杯予選でイタリアと対戦したこともある。だから選択肢として、4−2−3−1と3−4−3があることも知っていた。ただ、前半どちらでくるか把握はできてなかったが、どちらに来ても大丈夫なように準備をしていた。」
スポーツナビ


■ ブルガリアを相手にセットプレーから2失点を喫し、さらに得点も奪えず敗戦と後味の悪い結果で試合を終えることとなった日本。そこでなぜこのような結果になったのかを振り返っていきたい。その前に今回は4日後にW杯最終予選のオーストラリア戦を控える状況での親善試合だったという前提があることは理解すべきだろう。


そのテスト的な意味合いも兼ねて、今回ザッケローニ監督は開始から3バックを再び試してきた。が、またもや上手く機能せずチームを混乱させ終わってしまった。監督自身は「守備面ではよいところもあった」と語っているが、見ている側からするとチグハグな面を露呈してしまった気がしてならない。


まず3バックのメンバー(吉田栗原今野)はクラブで3バックを行なっていないという点。栗原は横浜Fマリノスで中澤と共に2CBで強固なブロックを作り、吉田は今季サウサンプトンでイングランド流のゴール前での壁として活躍してきた。こうして結果は残してきても慣れていない3バックではせっかくの経験が生かされない部分もある。


さらに、攻守で運動量を要求されるウイングバックについて。ここも駒野はクラブでWBをこなしていることもあり適正なポジショニングは出来ていたが、攻撃の起点となるビルドアップ型の内田は守備のケアもあったためなかなかオーバーラップする機会には恵まれなかった。


例えば日本で3バックを採用し、現在上手くいっているチームといえば浦和レッズとサンフレッチェ広島の2チームがある。しかし今回選出されている選手はGKの西川のみであり、フィールドプレーヤーには存在しない。ここでこの2チームから選手を選出しているのであれば3バックのオプションもスムーズなのだが、このメンバーから察するにはそこまでの移行は考えていないようだ。


こうして慣れないシステムを前にチグハグなポジションのスライドと攻撃の組み立てが目立つばかりの前半になってしまい相当の時間を要さない限り使えない戦術である印象を強く残した。



※日本の攻撃時の形はこのような形になることが多かった。これでは4バックと変わらず、中央では長谷部の攻撃面での飛び出しからのシュートやアイディア、サイドでは駒野のカットインが求められることになる。


さらにこのシステムはトップ下を置かないため、2ボランチの遠藤長谷部のどちらかが前に出て攻撃時にパスを受ける、あるいは守備時にスペースを埋める必要がある。なのでそこで抑えられない場合、どちらかが出たスペースを有効に使われてしまう。ならば香川がそこへ守備に入ればいいのではと思うかもしれないが、組み立ての時点で常時下がってきてしまうと前線はプレッシャーがかからず、3トップの意味が無い。


こうした守備の不安定さもあり、守から攻への切り替えも遅くなりチャンスは少なかった。そのような状況下でも唯一目立っていたのは乾だろうか。自らドリブルで持ち込める乾はこういった時でも陣形やペースに関係なく攻撃を活性化させる事ができるので、日本代表においては重宝される存在であるのは間違いない。




※黄が交代選手

前半をリードされて折り返した日本は、後半から4人を一気に替え、さらに通常の4-2-3-1に戻し試合に臨む事となった。これによって再び連携はスムーズになり、香川清武の元セレッソトリオを中心に縦に早いパスと飛び出しで相手ペナルティエリア内へと攻めこむチャンスを増やすことができた。


にも関わらず得点を奪えなかったのは何故なのか。そこで大きな要因として挙げられるのが①ブルガリアの寄せと戻りの早さ、そして②ゴール前での対人戦の強さだろう。


まず①の寄せと戻りの早さについて。後半から日本はトップに入ったハーフナーがカウンター時にパスを入れて流れてボールを受けたり、ポスト役となることが多くその役割はこなしていた。しかしブルガリアの戻りの早さがあったことで数的有利な状況を作り出せず、さらに寄せの早さもあって、ニ列目の3人はセカンドボールを上手く拾い前に運ぶことが出来なかった結果、得点生み出すことはできなかった。


次に②のゴール前での対人戦の強さについて。日本は①のような速攻だけでなく、ボールを回しポゼッションサッカーもできるチームである。しかしこれに対してもブルガリアはしっかり対応してくる。まず中盤でクサビのボールを受ける選手に対して強いチェックをかけて前を向かせない。さらにパスコースへ対してもスライディングでインターセプトするシーンも多くラストパスを出させなかった。


このようなブルガリアの積極的な動きもあって、日本は無得点で試合を終えることになってしまった。これを打開するにはより早い動き出しとパス、さらにそれによる揺さぶりが必要となってくる。内田が「試合前のミーティングから(ブルガリアは)良いチームだと思っていましたけど。頑張るし、技術も高いし。欧州ではあれが普通のレベル。」と語っている通り、この守備に手こずるようではこの先のコンフェデレーションズカップ、さらにW杯本戦で勝ち進むことも困難だ。

【フットボール戦略論】

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野中 邦定
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