メキシコ
1 - 2
イタリア
27
ピルロ
34
Jエルナンデス
78
バロテッリ
デ・ラ・トーレ監督
「我々はとても良い選手たちを擁する、素晴らしいチームと対戦した。彼らを抑え、中盤からダイレクトにプレーしなければいけないと分かっていたんだが。良いポジションにいるときは、たくさん動くことができた。もっと運に恵まれてもよかったと思う。もちろん、誰だって負けたくはない。こうやって負けたことはすごく悔しいよ」
Goal.com
プランデッリ監督
「試合前の我々はかなり興奮していたんだが、試合中はチームが非常に集中していた。我々は良い試合をして勝つことができた。しっかり準備をしてきたんだ。そういうときや、選手たちが非常に献身的なときは、どんなことも可能なんだよ。ピルロ? アンドレアは全員にとっての模範だよ。言葉はいらないだろう」
Goal.com
メキシコとの戦いからイタリアの攻撃戦術を探る
ピルロの直接FKとエース、
バロテッリという計算できる2人がそれぞれ得点し、1点こそ奪われたものの初戦でイタリアがまず1勝を挙げた。
■ イタリア代表(プランデッリ監督)の戦術
イタリアは自分たちのサッカーを表現し、勝利するとともに内容も伴ったサッカーを見せつけた。
プランデッリ監督率いるのイタリアのシステムは、
ピルロを中盤の底に置いた4-3-3。まずボールを持つとラインを押し上げ、ユベントス所属の後方トライアングルである
ピルロ、
バルザーリ、
キエッリーニをメインに安定感のある最終ラインからの組み立てで攻撃を始める。
ボールを自分たちのものにして落ち着けると、両サイドバックの
アバーテ、
デ・シリオが高い位置にポジションニングし、前線の
ジャケリーニと
マルキージオはその分、中に絞って中盤の層を厚くする。こうして中と両サイドに受けるポイントを作った上で、下り目に位置取った
ピルロと
デ・ロッシがパスを中盤で回しつつ、隙あらば後方からサイド裏へロングパスを入れる。そこに両サイドバック、あるいは中に絞っていた2人が再度開いて飛び出しゴール前へ侵入。最後はトップに入ったバロッテリがゴール前で強靭なフィジカルを生かしシュートへ持ち込むというのが基本パターン。
■ 中盤を支配し続けたアズーリ
前半開始からイタリアはこの攻撃を貫き、メキシコの戦術など関係なしにポゼッションすると、
バロテッリが得たフリーキックを名手
ピルロが完璧に左隅に決めあっさりと先制点を奪った。メキシコもこのサッカーはわかっていたはずだ。にも関わらず
ピルロと
デ・ロッシが中心となるパスに回しに対応できなかった。
その理由は何故なのか。まず考えられるのは連携面に不安がないこと。
イタリア代表のスターティングメンバー
ユベントス ブッフォン、バルザーリ、キエッリーニ、ピルロ、マルキージオ、ジャッケリーニ
ミラン アバーテ、デ・シリオ、モントリーボ、バロテッリ
ローマ デ・ロッシ
これを見れば分かる通り、選手からすればいつもの顔がしれたメンバーで、プレースタイルも互いに熟知している。
ピルロや
モントリーボのパス精度は信頼されているから、
デ・シリオも
アバーテもオーバーラップすればそこにパスがしっかり来るとわかっている。逆に、出し手もそこに走りこんでくれるとわかっているから誰もいないスペースにもパスを出す。この受け手と出し手の信頼があるからこそ、守備枚数を減らしてでも攻撃に飛び出すし、無駄な走りや奪われてのカウンターも少ないというのが安定感にも繋がる。
にも関わらず失点し同点に追い付かれてしまった。これはメキシコのプレスに対し安易に後ろへ戻した
ピルロにも責任はあるかもしれないが、
バルザーリが外へボールを持ち出せば済んでいたはずだ。特にこの前の30分のシーンでも同じような状況を体験していただけにもったいなかった失点だった。
後半もイタリアはボールを保持し続ける。これを見るとメキシコはハーフタイムに修正してこなかったのかと思うかもしれないが、イタリアはここでも一枚上手だった。前半は裏への飛び出しを主体とした縦のサッカーが多かったが、後半は横へのワイドなパス回しでピッチを広く使いボール回しを始める。メキシコはこの攻撃にに対し、どこでボールを奪いに行くのか、囲いに行くのかを徹底できない。その結果が自陣ゴール前に引いて固めるというサッカーに至った次第だ。
こうして主導権をイタリアが握り続けると、終盤にもデ・ロッシ→ジャッケリーニ→バロテッリと繋ぎ、エリア内で守備をこじ開けたバロテッリが存在感を見せつけるゴールを奪い勝ち越し。その後もボールを前で回し続けたイタリアが手堅く1勝を手にした。
■
イタリアの中盤での中から外のワイドな攻撃
前半39分のシーン ※赤い囲いはイタリアの中盤に位置する選手を点で結んだもの
センターバックのバルザーリがここまで上がりメキシコ守備陣を中央へ引きつけ、逆サイドのデ・シリオへロングパス送る。
40分のシーン
①まずデ・ロッシが持った時点でジャッケリーニ、マルキージオ、ピルロを合わせた4人が中央へ寄り、サイドバックのデ・シリオとアバーテがこれだけ高い位置を取っていることが見て取れる。このシーンを見ても、メキシコ守備陣は中央を固めている。
ここで
デ・ロッシは
マルキージオへパスを出すも、動き出しに合わず
②サルシドは前へクリア。しかしそのボールに対しピルロが素早く反応。同時に奥
(右サイド)ではアバーテがボールを呼ぶ。
③そしてここに絶妙のパスを送るピルロ。
④
アバーテの足元には出さずメキシコ守備網の間を通したこのパスはそうそう出来るものではないが、それを可能にする選手がいるこそ高い位置が取れるし、チャンスも生まれる。
■ メキシコの対応
イタリアの攻撃にどう対応するか。これがメキシコに期待されていた部分であったが、今回選択したのはリスクを犯さずに、まずは守備から入るという戦術を採用した。
しっかり守ってボールを奪いそこから自分たちの攻めを見せる、これは対強豪相手に負けないためのプランとしては最善策だと思うが、問題があるとすれば低い位置から攻めを始めなければいけないというデメリットがついてくる事だろう。
奪う位置が低ければ低いほどゴールから遠い位置で攻撃は始まる。当然、途中で取られれば即ショートカウンターを食らいかねないし、自陣に戻るだけの時間も与えてしまう。今日のメキシコはここを補うような攻撃を見せられなかったことが敗因か。
1つだけ有効だったとすればメキシコが左サイドで見せたグアルダードとGドス・サントスのコンビネーションだろう。アバーテがこのサイドに流れてくるGドス・サントスとグアルダードに対応できずに、深い位置まで侵入される機会が先制点を奪われるまでには数回あった。後半にも、Gドス・サントスは裏へ走り込む・前線でタメを作るなど精力的に働いていただけに、もうう少し後方からのフォローがあればよかったのだが、そこはイタリアも攻守の切り替え(守備構築)が早く自由にはさせなかった。
次にイタリアと戦う日本も左サイドで長友と香川のどちらかが引きつけ、どちらかが上手く抜けだせる状況を作ればここからチャンスは生み出せるはず。逆にこれが通じないようだと岡崎の裏への飛び出しに期待することになるだろうか。